四阿プロジェクト

2005/05〜06

完成した四阿。テーブルとベンチも用意した。

@2004/12/15

現在は畑で作物を作っている場所に庭園を整備することとした。


壮大な(?)庭園の設計図を作成したところ、女房殿から既存の家庭菜園も少し残したいとの意見があって、ワラビやフキ、なす、トマト、オクラ、ニガウリ等の耕作地を残すこととした。庭の中央に四阿を建て、角と丸の御影石で園路を配置し、樹木も10本程度植樹することとした。

まず、メインとなる四阿の造営から着手する。

 

A2005/1/10

四阿の基本仕様を以下とした。

 ・材料費は10万円程度とする
 ・大きさは1辺3.6m/天井高2.4m
 ・柱、梁、棟木は90mmの4×4のWRC
 ・垂木は40mm×90mmの2×4のWRC
 ・軒げたも2×4のWRC
 ・屋根材は下地を松板(20mm厚)
 ・外装材は安価なビニール(田んぼの畦シート)

 

工事はGWの休暇以降なので設計には十分時間があり、近くの公園等の実物を見て参考にし、作業上のノウハウを蓄積した。
キャンパスノート1冊で「四阿プロジェクト」とし、長い通勤時間の合間に気のついたことを書き留めて詳細設計を進めた。

 

B2005/4/17

作戦開始!

いよいよ作業開始とした。

四阿の骨格をなす角材を物色したが、近くのホームセンターにある材料では狂いが多く使えそうもない。雑誌等を参考にいろいろ探したら木材を専門に扱う店で良いものが見つかった。少し価格が高く、しかも、組立キット等は一切なく、すべて材木から自分で切り出して加工・施工する必要があるが物は良さそうだ。
甲府市の「木工ランド」へWRCをインターネットで契約・発注した。

 ・4×4 3048mm ×12本
 ・2×4 3048mm ×8本
 ・2×4 3648mm ×4本

 

C4/23(月)

納品指定日に「木工ランド」から佐川急便の代金着払いでWRCが届く。

「木工ランド」からの到着便

 

D4/29(祝)

WRCを切断(2700mm)して柱(4本)とする。

基礎は、家の建築のようなベタ基礎ではなくコンクリートの排水マスを利用することとした。コンクリートの排水マス4個を柱位置に正方形を確認して埋め水準器で水平をとるが、もともと畑だったところなので地面に傾斜があり、排水マスも相当の重さがあるため重労働だった。排水マスは上下逆さにしてふたを底にすることでうまく埋設できた。

基礎となる排水マスの埋め込み

 

E4/30(土)

排水マスの中に柱を入れ、位置(正方形)・垂直を確認して柱の上部・下部を松材で固定する。排水マスの位置は設計図と現場で十分に測定・確認したはずだったに位置が微妙にずれていた。何度もやり直し、埋め込んだ排水マスを掘り起こしての修正まで実施した。納得するまでに相当の時間を費やした。

 柱の仮組み

 

コンクリート(ドライ生コン)で排水マスと柱を固定する。
ドライ生コンはセメントと骨材を混ぜ合わせて販売されており、水を加えるだけで固まる優れ物だ。20kg袋×2でOKだろうと思ったが、やってみると足りなくなり1袋を追加購入した。古い金たらいを使って生コンをこねた。

  コンクリートで柱を固める

 

F5/3(祝)

梁材(WRC)をノコギリ・のみ・ハンマーで切断・加工する。梁と棟木との木組みは90度に直交して、かつ棟木との傾斜角が78度と複雑なため実物大の図面を用意して確認しながら作業を進めた。連日天気が良く、紫外線よけに麦わら帽子が必需品だった。

木材の加工

 

G5/4(祝)

棟木の先端は、傾斜角78度の棟木に傾斜角74度の軒げた(40mm×90mm)を固定するため、複雑な切断角度となり実寸の計算ができず相当に悩んだが、結局試行錯誤で誤差を修正しながら作業を進めた。近くで見るとちょっと不自然だが遠くから見ると良くできている。(自己満足!)

 

H5/5(祝)

いよいよ、柱と梁と棟木を組み合わせる上棟となった。屋根中央先端は四方から棟木を寄せ合わせるが、作業員が2人しかいないため4本同時にできないので、中央部分に松材(4m)を立て棟木を1本ずつ組み上げて松材にひもで縛って固定し、最後に2人で呼吸を合わせてひもを外し梁の木組みと自重とでしっかり組上がった。
「2005.5.5 大安」とサインして記念とした。

棟上げ

 

I5/8(日)

軒げたを取り付けるが、これも棟木との接合部分は現場合わせで微妙に斜めに切断する。全体の骨組みが完成したが、大骨だけなのでまだ完成形のイメージがわいてこない。

 

J5/18(水)

垂木を取り付けることとなったが、棟木の傾斜角が78度で垂木の傾斜角が74度で、かつ棟木への取り付け角が45度のため微妙な角度で切断するが、現場合わせでどうにかうまくいった。現場合わせが多いがだいぶ形が整ってきた。

垂木、軒げた組み

K5/21(土)、22(日)

屋根下地張りにに取りかかった。材料は松板(19o×89o×1820o)を使用した。表面がかんな仕上げで下から天井を見上げてもきれいに仕上げられている。棟木との取り付け部分は74度の傾斜角で、屋根中央先端へ向かって47度程度の角度で狭まって行くので採寸・切断に手間どった。本数が多いこともあって予想以上の時間がかかってしまった。
まず、切り取り寸法が決定したら指金を使って板にボールペンで厚手方向・薄手方向の三次元へ斜め線を引いていく。これをノコギリで一枚一枚切断する。切り手と押さえ手との2人の共同作業だった。

下地板張り

  
斜めに切断できる電動ノコギリが市販されているようだが三次元の斜め切断は不可能だった。加工済みの板をはしご、脚立等を利用して垂木に打ち付けるが、最初はインパクトドライバを使用してビス止めとした。しかし、作業性が悪いので上部は釘とハンマーによる打ち付けに変更した。効率は格段に向上した。板の表面はすべすべしていて傾斜があり滑って危険なため地下たびを買ってきた。底がゴムでできていて実に機能的で滑りは皆無となった。

何を隠そう! 私は高所恐怖症であり高い所では脂汗が吹き出してきて足が震える。地上からたかが2.5m程度の屋根上がかなり怖いものだった。落ちれば命に関わることも考えられる(?)ため慎重に作業したが、柱の基礎が排水マスで地面が畑のままで柔らかいこともあって、屋根に登るとかなり揺れてこれがさらに恐怖を増幅した。

 

L5/28(土)、29(日)

先週に続いて屋根下地張りを続行しついに完成した。きれいに仕上がった。

下地板の完成

 

M6/4(土)

水切り板(ケラバ)を取り付ける。1辺に2枚のケラバでぴったり収まるが角の部分を斜めに切断しなければならない。ここで新たに購入した金切りキサミが活躍した。刃が鋭く難なく切断できた。

 

N6/5(日)

設計変更!

ここで、当初の設計では屋根材は簡単なビニールシートとしていたが、恒久的な耐久性の高い素材へ変更することとした。大きなホームセンターでアスファルトシングルという屋根材を見つけたのだ。防水シートを貼りその上へアスファルトシングルを貼る。費用は追加となったが耐久性が格段に向上した。

ルーフィング(防水シート)貼りを行った。
全長21mのドラム状に巻いてあるのを棟木の部分を5cm程度重ねるように、3.7mで切断してタッカーで止めていった。21mでは不足するので1段目で不用となって切り取った三角部分をうまく利用して貼っていった。1日で完了した。

暑い屋根の上、タッカーで止める

 

O6/6(月)

所用があって休暇を取ったが、所用は早々に切り上げて屋根材(アスファルトシングル)の取り付けを行った。細かい砂粒をアスファルトで暑さ3oに固めたものを、カッターナイフで切断して釘で防水シートの上から止めていった。2面貼ったところで足が疲れてふくらはぎが痛くなり作業中止となった。
少し離れて眺めて見たが、防水シートと同様に棟木の部分を重ねて貼ったために重なり部分が不自然に厚くなって気に入らない。重なり部分はやり直し修正することとした。
さすがに3日続けると疲労も限度だった。どっと疲れが出た。

アスファルトシングル貼り

 

P6/11(土)

昨日、梅雨入りしたため朝から小雨が降っていたが、あと2日あれば完成するので雨の降り具合を見ながら作業を実施することとし、アスファルトシングルの重なりの修正で午前中は終わってしまった。その後天気が持ち直したこともあって夕方までに屋根材貼りは完成した。

 

Q6/12(日)

ついに最後の行程である棟木上部だけとなった。ここは部材の切断が単純なので下で助手が切断したものを上で受け取って貼っていった。どんどんはかどり2時間で完了となった。
モザイク調のデザインから非常に見栄えの良いものとなった。素晴らしい!

ついに完成した

途中で設計変更したので費用がかさみ、総材料費は約13万円となった。もちろん労務費はただである。

 

ツール、材料等

1.ツール

・スコップ
・こて
・インパクトドライバー
・のみ
・ハンマー
・指金
・ノコギリ
・メジャー
・タッカー
・はしご
・脚立
・木工ドリル刃 13.5o
・金切りハサミ
・カッターナイフ
・金たらい
・地下たび

2.材料(約13万円)

・排水マス      270×270×300        4個
・ドライ生コン    20kg              3袋
・木材  WRC 4×4 (3048×90×90)    12本 
・     WRC 2×4 (3048×40×90)     8本
・     WRC 2×4 (3650×40×90)     4本
・松材           (4000×30×40)    24本 
・松下地板        (1820×89×19)   100枚 
・金具  羽子板ボルト (1/2 180)        4個
・     貫通ボルト  (1/2 125)        4本 
・     座金      (40×40×2)       8個
・水切り金具(ケラバ)  (1830)          8本
・ネジ  ステンレスコーススレッド         1箱
・     細コーススレッド              1箱
・釘   45o                     1箱  
・        25o                     1箱 
・    20o                     1箱 
・ルーフィング      (1m×21m)      1巻
・アスファルトシングル (340×1000)       7束
・接着剤         (シングル用セメント)  1缶

3.作業員

・1名(本人)+助手(妻)

 

自慢と反省

どんな作業にも反省は必要であり、PDCAを回して常に改善を考える。


工夫した点

1.基礎に排水マスの利用
基礎固めにコンクリートの排水マスを利用し、地面へ逆さに埋め込んでふたを底部分に使用した。これを利用することで作業性が向上した。

2.羽子板ボルトで結合
棟木と梁と柱を1本の羽子板ボルトで結合した。梁の内側では羽子板ボルトの長さが不足するため外側止めとしたががっちりと止めることができた。十分な強度が確保できた。

3.棟木中央先端の組み付け
棟木中央先端部分は4本が集中し、しかしも梁と一体構造をなすため工夫が必要だったが、4mの松材を中央部分へ建てることでこれにひもで棟木を一時仮止めしておき、うまく最小の人手で4人分の作業を行うことができた。

4.アスファルトシングルの採用
屋根材に何を使用するか悩んだが、ホームセンターでアスファルトシングルを見つけたことで一気に解決した。小さな砂粒をアスファルトで固めたもので色は落ち着いたグレーだが単体毎に微妙に差があり、モザイク模様としたときに実に味のあるものとなった。
ただし、初期の計画のビニールの予定から本格的な部材へ変更したため材料費が増大した。最終的には30%増で総経費は13万円を超えた。

 

失敗・反省点

1.排水マスの埋め込み
柱の位置(間隔・対角線・正方形)を良く確認して排水マスを地面へ埋め込んだつもりだったが、柱を立てる段になって寸法位置がずれていた。排水マスの一部を掘って5cmほど移動した。

2.柱の切断
2700mmを必要とするところを、何を血迷ったか2400mmで切断してしまった(大失敗!) 予備の柱はなく、やむを得ず1本を再購入せざるを得なかった。

3.松下地板の切断
下地板は上部へ向かって47度の角度で狭まっていくが、最初は45度で良いと錯覚してかなりの部材を切断してしまった。取り付け部分へ並べてみて誤りに気づき再度やり直した。実際は47度ほどの角度を持って切断する必要があった。半日分のロスタイムが生じた。

4.ケラバの切断
1辺2枚で構成し、角の部分は47度で切断するが、右と左で切断角度が反対になるのは十分頭に入っていて理解していたはずなのに、切断するときにみんな同方向で切断してしまった。1枚再購入して複雑に切断加工してやっとリカバリできた。

5.屋根材の貼り方
屋根材はアスファルトシングルを使用し、屋根全体に50%程度重ねて千鳥に貼ってゆくが、深く考えず単に水漏れ防止として棟木の部分を両側から10cm程度重なるようにしてしまった。外から眺めると両側から重なって盛り上がってしまい仕上がりがきれいでないことが判明した。半分貼ったところで気がついて修正を加えた。

 

ひとまず、四阿が完成した。
次は植樹だが、植えるべき樹種と時期を検討し、長期計画として楽しみながら実施していくこととする。

 

おしまい!